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今回のテーマは『パニック障害 前半 〜救急医療編〜』についてです。
パニック障害の発作になって、救急車で運ばれてくる患者さんはたくさんいます。
そういう患者さんの多くは、過換気症候群という息がしにくい、手足がしびれるといった状態になっています。
そのような状態になって、救急車で運ばれてきた場合に、現場でまずおこなうことは、過換気症候群であるということの確認です。
(ももの付け根の動脈から血をとって、動脈血の中の二酸化炭素が少なくなっていることの確認などをおこないますが、ここでは詳細は省きます。)
確認がとれ次第、または、それと並行しつつ、どのように発作を落ち着かせるか、ということを考えます。
発作の程度にもよりますが、
呼吸回数が多くなって不安定な呼吸になっている状態から、普通の呼吸の状態にもどすために、
可能なかぎり、患者さんから何か話をしてもらったり、テンポがゆっくりな歌を歌ってもらったりすることもあります。
(「話す」ことで呼吸回数が減らせる可能性があります。)
個人的には、よく「ぞ〜◯さん、ぞ〜◯さん、お〜はながながいのね」を歌ってもらっていました。
(余談ですが、「ゆっくり呼吸をして」という指示は、意図は分かっていても、実際に自分でコントロールするのは、難しいものです)
それでも、改善がない場合や発作の程度がひどい時には、点滴から鎮静剤を投与して、鎮静をはかります。
一時的に呼吸がとまったりすることがあるので、酸素マスクをつけたり、いろいろなモニターをつけて、呼吸や血圧などが安定していることの確認を継続的におこないます。
状態の改善をはかりつつ、同時に考えなければならないこと最も大切なことは、発作をひきおこした原因が何なのかということです。
この発作をひきおこした原因が、説明できるかどうか、つまり
何かしら突発的な病気がおこったことによって、それに引き続く形で発作がおきたのか、
それとも、精神的要素が原因で発作がおきたのか(一般的なパニック障害のこと)、その判断が重要になってきます。
例えば、急性心筋梗塞を発症し、胸痛がひどくおこり、そのことににより、過換気の発作がおこったということもありました。
その時は、発作のコントロールをしつつ、おこった状況を本人に確認をして
『突然胸痛がおきて、それからこのような発作になった』という
ことがわかったため、胸痛の原因を調べることにより、急性心筋梗塞と診断がつきました。
ただ、大多数の発作では、発作が落ち着いて、呼吸状態が安定し、
その原因が特に緊急を要する病気とは考えにくい場合は、
後日精神科医に相談をしてください、ということで帰宅を促され、救急医療は終了となる
という経緯をたどることが多いと思います。
当然、原因がはっきりしない状態が続けば、何度もパニック発作になって、そのたびに、救急車で運ばれてくることになりえます。
以上が、救急医療での普通の流れだと思います。
救急医学の教科書には、パニック障害の発作の患者さんが運ばれてきた時に対する対処方法や、その治療における注意点の記載はたくさんありますが、原因に対してのアプローチへの考察は、ほとんどありません。
しかし、栄養療法を学ぶと、血糖値の急激な変動が、上記のような状態をひきおこしている可能性が高いことがわかります。
次回は、パニック障害 後半 〜栄養療法編〜 です。
© 医療法人花乃羅会 ふじもとクリニック