ケロイド手術
ケロイド・肥厚性瘢痕
ケロイド・肥厚性瘢痕とは、真皮網状層の創傷から炎症が持続する線維増殖性疾患です。
外傷や外科的手術、軽微な虫刺症など、体表のキズが原因で発症し、長期にわたり赤色調の光沢を有する隆起性病変です。 赤く盛り上がり、痛みや痒みを伴います。醜状を伴うこともあります。
治療法
手術しない方法
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1)圧迫療法
創部を安静に保ち、張力を減らします。
圧迫・固定により、局所の血流量が減少し、炎症が軽減します。
圧迫療法単独では、早期のケロイドの平坦化は難しいといわれています。
エフシート®︎やメピフォーム®︎を使用します。
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2)貼り薬(ステロイドODT療法)
⚫︎副腎皮質ステロイド含有テープ
抗炎症作用・線維芽細胞抑制作用・血管収縮作用があります。
【貼り方】
1日1~2回貼り替える。
ケロイドや肥厚性瘢痕の形に合わせて貼る(周囲の健常な皮膚にかからないようにする)。
あらかじめ、型紙をつくっておくと便利です。
注射に比べると効果がでるのに時間がかかります。
貼ることによる痒みなどが出現した場合は、一旦中止する必要があります。
※副作用:接触性皮膚炎、毛のう炎、皮膚萎縮、毛細血管拡張など。
小児では反応性が高いことが多い(治療効果が期待できます)。
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3)塗り薬
- ステロイド軟膏
抗炎症効果があります。
副作用;長期使用で、皮膚萎縮・菲薄化・毛細血管拡張など。
- ヘパリン類似物質
消炎効果、血行促進効果、保湿効果があります。
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4)内服薬
- トラニラスト
抗アレルギー剤です
ケロイド・肥厚性瘢痕由来の線維芽細胞のコラーゲン合成抑制し、症状を軽減します。
疼痛及び搔痒といった症状の改善目的に有用です。長期内服で効果を期待するものです。
1日3回の服用が必要で、効果が出現するまでに3ヶ月程度を要することが多い。
妊婦の方は、禁忌です。
副作用;膀胱炎様症状(頻尿・排尿痛・血尿・残尿感など) 約5%の割合で出現します。
消化器症状(悪心や胃腸障害など)
肝機能障害(長期間服用する場合は、定期的な血的検査が必要)
- 漢方薬
内因性の副腎皮質ステロイドの分泌を促進して、肥厚性瘢痕の症状軽減に効果を発揮します。
保険適用外です。
1日2〜3回 食前or食間に内服薬。
副作用:間質性肺炎を認めることがあります。
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5)トリアムシノロンアセトニド注射
ステロイドを使用する保存的治療の中で、もっとも有効といわれています。
痒みや痛みなどの症状は、早い段階で改善を認めますが、色調や盛り上がりの平坦化などの改善には数ヶ月以上の継続が必要になります。
女性では、副腎皮質ホルモンの影響で、生理不順が生じることがあります。
治療期間中の妊娠は推奨されません。
注射時に疼痛が伴います。
禁忌:緑内障、白内障の方はできません。
副作用:ケロイドの周囲皮膚の菲薄化など生じる可能性があります。
1ヶ月に1度の注射が必要ですが、長期間の投与はお勧めできません。
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6)レーザー(当院ではおこなっておりません)
赤色瘢痕や肥厚性瘢痕では、赤色レーザーが有用なこともあります。
手術方法
保存的加療でも改善しない場合、瘢痕拘縮があって機能障害を認める場合、醜状が著しく問題となる場合、感染を繰り返す場合などに手術が適応となります。
外科的摘出に加えて、縫合法の工夫、術後の電子線照射、創部の長期間の安静(3~6ヶ月間のテーピング)をもって、ケロイドの再発をリスクを可能な限り減らします。
肉体労働の方や、運動選手など創部の長期間の安静が保てない方は適応にはなりません。小児にも適応にはなりません。
当院での外科的手術について
当院では日帰り手術ということもあり、一期的に縫縮ができるケロイド・肥厚性瘢痕のみ手術適応としています。植皮術が必要など入院加療が望ましい場合には、他医療機関へ紹介させていただきます。
術後電子線治療効果について
当院では、福岡赤十字病院の放射線科 木村正彦 先生と連携して、術後電子線治療をおこないます。
形成外科診療ガイドラインには、ケロイド切除後の放射線治療は有意に再発率を下げる(グレードBまたはC1)とされています。切除後なるべく早期に照射を開始すべきとの報告が多いです。
部位に応じて、照射量や必要日数が変わります。
- ・前胸部、肩甲部、恥骨上部
- 総線量 20Gy/4分割照射 (4日間)
- ・耳垂部
- 総線量 10Gy/2分割照射 (2日間)
- ・その他の部位
- 総線量 15Gy/3分割照射 (3日間)
電子線治療が好ましくない場合
・妊娠を予定している場合
・帝王切開後のケロイド・肥厚性瘢痕の方で、再度妊娠予定の場合
・小児
当院で、外科的摘出、術後電子線治療を受けられる方は、当院での診察、術前検査終了後、福岡赤十字病院 放射線科 木村 正彦先生の診察が必須になります。
受診の流れのイメージをご参照ください。