日帰り手術
Operation
下肢静脈瘤とは、太ももの内側や、膝のうらの浅い部分を走っている静脈の弁が壊れて、本来であれば一方通行に流れていた血液が逆流をおこし、血液のうっ滞を引き起こしてしまっている状態です。
老廃物などを多く含んだ血液が心臓に戻らず、足にたまったままの状態になるので、足がむくんでだるいと感じたり、足がつったり、かゆいという症状が出現します。夜間寝ている間に足がつることもあります。
そのまま放っておけば、静脈が膨らんで瘤として目立ってきたり、足の色が黒ずんだり、湿疹や潰瘍を伴うこともあります。
足の瘤そのものの治療を希望されて、受診される方が多くいらっしゃいます。
しかし、足の瘤は、むしろ「結果」ですので、治療しなければならないのは、瘤そのものではなくて、「原因」となっている、弁が悪くて逆流をおこしている静脈です。
(逆流している静脈の状況によっては、瘤そのものの治療が必要になることもあります。)
逆流を起こしている静脈がなくなれば、結果である足の瘤はだんだん縮小していきます。
静脈の弁がうまく働かず、血液が逆流することが原因ですので、内服薬で治すことはできず、自然と改善することはありません。
原因となっている静脈が、主に、大伏在静脈・小伏在静脈の場合に血管内焼灼術の適応になります。日本静脈学会の「下肢静脈瘤に対する血管内治療ガイドライン」に則り、当院では、治療を行います。
超音波検査を用いて、簡単に診断が可能です。痛みは伴いません。
立ったままの状態で、太ももの内側(大伏在静脈)、膝のうら(小伏在静脈)の血管に逆流がないかを調べます。10分程度の検査です。
下肢静脈瘤に対しては、大きく2つの治療方法があります。
適切な弾性ストッキングをはくことで、足にたまった血液を下から上へ押し上げ、また、浅い場所から深い場所へ導くことで、症状の改善をはかります。
しかし、弾性ストッキングを脱いでしまえば、効果はなくなります。また、ストッキングにより、皮膚がかゆくなったり、かぶれたりすることもあります。
下肢静脈瘤が認められ、弾性ストッキングをはくことで改善する症状は、下肢静脈瘤が原因と考えられます。逆に、弾性ストッキングをはいても症状が残っている場合には、下肢静脈瘤以外の原因が疑われます。
手術を受ける前に、まずは、弾性ストッキングをはいて経過をみるというのも、一つの選択肢です。
ただし、弾性ストッキングをはくことは、根本的に治す治療ではなく、あくまでも症状の改善を図るための保存的治療になります。
当院では、2020年3月から下肢静脈瘤に対するグルー治療『ベナシール治療』を開始しました。
※クリニックとしては、九州初のグルー治療認定施設となりました(2020年7月28日)
ベナシール治療は、医療用の瞬間接着剤を静脈の中に注入し固めて、逆流をとめる新しい治療方法です。
保険診療で治療を受けることができます。
今までのレーザーやラジオ波による血管内焼灼術では、静脈を焼いてふさぐ治療のため、わずかですが、神経障害や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などの合併症がおこることがありました。
しかし、ベナシール治療では血管を焼灼させることはないのでこれらの合併症がほとんどおこりません。
また、この治療で使用するシアノアクリレート系の瞬間接着剤は、これまでも医療用として血管内治療や皮膚接着などに広く使われており、安全性も問題ありません。
※接着剤によるアレルギー反応がおこる場合があります。
※すべての静脈瘤に対する治療として、適応となるわけではありません。
高周波(ラジオ波) | レーザー | |
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保険適用 | ○ | ○ |
術後の痛み | 少ない | 少ない |
皮下出血 | 少ない | 少ない |
2014年に、波長1470nmレーザー治療とラジオ波(高周波)治療が保険適用となっています。
従来より、波長980nmレーザー治療は、保険適用となっておりましたが、疼痛や皮下出血が起こりやすいという問題がありました。
波長1470nmレーザー治療とラジオ波(高周波)治療は、波長980nmレーザー治療と比較して、上記のように疼痛や皮下出血の頻度が減少しています。
逆流している血管を焼きつぶし、足にたまっていた血液を、他の正常な静脈へと促すことで、足から心臓まで正しく流れるように、正常な状態に近づけます。 そうすることで、滞っていた血液が正常な流れに戻るので、症状が改善され、足の瘤も徐々に減少していきます。
現在、認可されていないレーザー治療をあえて選択する理由はありません。
当院では、波長1470nmレーザー治療とラジオ波(高周波)治療の2つの治療を保険適用でお受けいただけます。
また、従来より細くなったスリムファイバー(ラディアルスリム2リングファイバー)も導入しております。より体への負担が軽減しています。
詳細は、下肢静脈瘤のブログをご覧ください。
© 医療法人花乃羅会 ふじもとクリニック